労働組合、労働運動はコロナ危機と対決しよう
労働者、民衆の命を守ろう!生活を守ろう!
雇用を守ろう!
全ての働く仲間は新型コロナ対策要求を掲げ、
20春闘を最後まで闘おう!

2020.4.9 全国一般労働組合全国協議会


■(1)全国の仲間と連携し、全国一般全国協はコロナ危機と正面から立ち向かおう!

コロナ危機とはコロナ感染症のパンデミックによる罹患と死亡だけでなく、世界的な経済危機による雇用破壊、生活破壊であり労働運動、労働組合は全力で立ち向かう必要がある。コロナ感染症のパンデミックが終息したとしても、世界的な経済危機は継続する可能性が高い。最大の犠牲を被った労働者民衆と「社会的弱者」といわれる人々の苦難と生活苦は更に継続し、拡大していくことになる。
コロナ危機に立ち向かうことは労働者の生活と権利を守る労働運動、労働組合の本来の闘いである。これらの闘いは企業内において一労組が経営者と交渉すればすむことではない。労組の枠を超え地域の労働組合、地域の住民組織、運動体などとの連携・共闘や、全国の仲間と連携して闘うという社会的な広がりが要求される。我々はこれらを労働運動、労働組合の社会的責任として再確認し闘う必要がある。またパンデミックとなっている以上、一国だけの終息では再流行の可能性は否定できない。労働者、民衆の国際的に連帯した闘いとしていかなければならない。

第1の闘いは、「命を守る闘い」である。
労働者、民衆の命を守るためには、移住労働者も含め様々な事情で医療から排除されている人々に、必要な医療を保障する闘いが必要だ。医療費を払えない人に対する医療費免除も必要だ。基礎疾患のある貧しい人や高齢者、外国人労働者が不利に扱われたり、「地獄の沙汰も金次第」という事態の発生を許してはならない。限界に近づきつつある医療体制のなかで、入院や治療について公正で透明性のある運用を要求しなければならない。
治療の最前線で闘う医療関係者、労働者に最大限の敬意を払うと共に、彼らの安全を最優先していかなければならない。

第2の闘いは「生活を守る闘い」である。
生活を守るためには様々な闘いが必要となる。例えば休校などで共働き世帯やシングルマザーなどへの様々な援助も必要になってくる。全国協の各労組にも共働きやシングルマザーの組合員が存在する。彼ら、彼女らから必要なことを聞き取り、会社に必要な対応を要求しなければならない。
地域には買い物難民など○○難民と言われる様な生活困難者が多数存在する。彼らが必要に感じていることを聞き出し必要な支援をおこない、地域の仲間と連携し行政交渉をおこなうなどの活動も大切だ。
省庁交渉が必要な国の政策・制度にかかわるような問題については、全国協にとどまらず、様々な労組産別組織、市民団体、NPO等、可能な限り大きな枠組みで取り組んでいくことが必要となる。
職場、地域、全国を貫いて「生活を守る闘い」は多種、多様に存在する。労働組合はそれらの闘いに積極的に取り組んでいかなければならない。

第3の闘いは、「雇用と労働条件を守る闘い」である。
コロナ対策での休業に対しては、正規雇用労働者、非正規雇用労働者を問わずあらゆる雇用形態や、フリーランスといわれる労働者への100%の賃金保障は前提だ。「保護者の休業助成で風俗業は除外、デリバリーヘルスやキャバクラなどで働く人は雇用助成金の対象外(東京新聞4月4日)」と報じられた。しかし多くの人々の抗議により撤回されている。これは政府の好き勝手にまかせれば「社会的弱者」は切り捨てられるが、労働者、民衆が抗議すれば改善させることもできるという事例でもある。
サービス業などに対し、政府は自粛を呼びかけているが休業補償を行っていない。申請しても1か月後にしか受給できない雇用調整助成金では間に合わず、休業補償なき自粛要請は、経営者による解雇や賃金切り下げなどの要因となる。
労働組合として、それらの解雇、労働条件切り下げに対しては、全面的に闘う必要がある。それだけでなく、「経済優先、人命無視」の安倍政権に対し、完全な休業補償や「命と生活」を保障する迅速かつ充分な補償を要求する。

■(2)労働組合として主体的・自覚的に取り組むべき闘い。

@労働組合は、組合員の健康を守りながら、コロナ危機に立ち向かう労組活動を創意工夫していかなければならない。

労働組合みずからも社会的に呼びかけられている「3つの密(密閉空間、密集場所、密接場面)」を避け、マスク着用、手洗い、うがい、の励行を心がけなければならない。執行部は当然のこととして組合員も含めて「自らが感染者である可能性も、集団感染源となる可能性もある」という自覚をもって行動しなければならない
労組会議や集会の開催なども、リスクと必要性を充分に比較検討し、開催すると決断すれば可能な限りの防御策を講じなければならない。そしてどのように議論して開催を決断したのかを組合員に説明し、必要な議論をおこない、納得を得なければならない。それはコロナ危機のなかで、組合員の健康を確保しながらの組合活動のやり方を、組合員一人一人の創意工夫によって作り出していくことにつながる。
コロナ危機との闘いは1年〜2年かそれ以上に長期化することが予想される。組合員一人一人のコロナ危機への闘いへの主体的参加意識を高め、労働組合総体の力を強化することがコロナ危機と立ち向かう労働組合を作り上げることにつながる。

Aコロナ危機のなかでも、労働組合、労働運動にはリスクを冒してでも闘わなければならない事がある。

労働者、民衆の「命」が軽んじられ、基本的人権が踏みにじられ不平等に扱われる時には、リスクを冒してでも抗議行動も含めて取り組まなければならない。低賃金労働者、「社会的弱者」に一方的にしわ寄せが及ぶような政策には全力で闘う必要がある。当然、労働組合の基本的任務である解雇やリストラ攻撃との闘いも可能な限りの防衛策と戦術の創意工夫をこらして闘う必要がある。
安倍政権と資本家たちはコロナ危機を口実に、私たちの闘いを「自粛」させようとしている。現に「自粛」を口実にした会社による団交拒否も目立っている。争議解決を遅らせ、隙あらば攻撃を強めることを狙っている。闘いの「自粛」ありきは禁物である。何よりもまず、私たちが闘いを「自粛」しても悪辣な安倍政権と資本家たちは攻撃の手を緩めない。
感染リスクを検討しながら必要な闘いは、断固として実行しよう。スタンディング、宣伝カーでの街頭宣伝、インターネットでの拡散などさまざまな闘いを工夫し展開しよう。
また、安倍政権は、基本的人権の広範な制約を可能にする『新型コロナ特措法』を成立させることに躍起となる中で、肝心の新型コロナ感染拡大阻止の具体的な対策は一切進めなかった。そこには、「緊急事態宣言」を発動しチャンスがあれば改憲に結び付けたいという安倍政権の露骨な思惑があった。
感染拡大阻止を大義名分にした外出規制、公共の会館使用禁止、集会自粛要請、『新型コロナ特措法』による「緊急事態宣言」など、それら全てを安倍政権の「戦争する国造り」にむけた民主主義破壊・独裁体制確立と抱き合わせるという火事場泥棒的な手法で進められることは否定できない。私たちは、爆発的な感染ふせぐためには「自制」することはあっても、一方的に基本的人権を奪い私権を制限する「自粛」には同意できない。
自衛隊の治安出動や改憲策動を許すなどの危険性が大きければ、労働組合は、決然と立ち上がり抗議の闘いを進めなければならない。

B「労働相談」には真摯に積極的に対応しよう。

困難に直面する多くの人々が相談相手を求めている。とりわけ非正規労働者、派遣労働者、フリーランス労働者、移住労働者の悲鳴が聞こえている。新型コロナ関連での休職強要・一時帰休・退職強要・解雇・雇い止め・派遣切りの嵐が強まっている。
フリーランスなど「自営業者」といわれている人々も大きな困難に直面している。いかなる形であれ賃金・報酬をもらって暮らしている人々は労働者だ。これらの労働相談は、労働問題だけではなく生活問題をはじめ人々が生きていく上で必要な多くの領域におよぶことになる。これらの相談を正面から受け止め、それに対応する中で全国協の労働組合としての力を強め、社会的責任を果たして行こう。

■(3)全世界の労働者、労働組合と共に闘おう。

@排外主義的な言動に対しても闘う必要がある。桜井よしこなどは新型肺炎の発祥国が中国であることから「武漢ウイルス」と呼ぶべきであると差別排外主義を煽り立てている。コロナウイルスのパンデミックにたいする闘いは、労働者、民衆の国境を超えた闘いでなければ終息させることはできない。自らの排外主義的な主張の流布のために差別をあおり、労働者、民衆を分断することは、パンデミックの終息を遅らせ、貧しい労働者、民衆の犠牲を増やすだけであり、許すことはできない。

Aコロナ危機との闘いは、一国だけで解決することは困難である。また分断された社会でも解決は困難である。一国の利害を超えた国際連帯を追求する労働者、社会の多数派として生産の主力としての役割を担いながら、安全安心に暮らす社会をめざす労働者、労働組合の闘いがコロナ危機と闘う社会的な連帯を形成することができる。
全国一般全国協議会はこのような闘いを進め必ず勝利する。世界の労働者、労働組合とこの勝利の経験を共有し、医療・民生基盤の脆弱性から困難を抱える諸国への国際的援助にも取組み、新自由主義グローバリゼーションと闘う労働者の国際的な団結を強化することをめざす。